2022/09/14

不思議なおじいさん

 8月の1か月間、俳優山﨑努氏の『私の履歴書』(日経)を楽しく読んだ。
31日の最後に多摩川で散歩をするということが書かれてあったが
そこに出会った老人とのおかしな不思議な会話が載っていた。
太陽を見上げ「あれは何だ?」とその老人。
山﨑氏「…あれは太陽です」
「へぇ、あれが太陽ですか」「・・・」
「ここへはよく釣りにきていました。20年ぶりです」
そしてぽつりと「この辺はもう月は出ないでしょうね」
「・・・いや、出ます」
「えっ、出ますか、そうですか」

そういえばだいぶ前にブログに書いたことがあるが
私も不思議なことがあった。
8月末か9月だったか、とにかく時期的には今時分。
いつものように箱根湯本の整体に行き
その日は何の予定もなかったのでふらふらとバスに乗り
芦ノ湖を経由して湯河原へと降りた。
JRホームのベンチで電車待ち、読書をしていると
杖をついた老人が横に座った。
「あじさい、きれいですねぇ」とつぶやく声。
私はふっと顔を上げてまわりを見る。
他に誰もいないので私に話しているとわかったが
すぐに返答しなかったためか
「あじさい、わかりますか? あの赤い花」 
その老人の指す方向を見るとあじさいはない。
しかしピンクの花が咲いている。
「あれはあじさいでなく芙蓉だと思います」
「おぅ、そうですか」
するとひゅっくと立ち上がり去っていった。
と、いうことなのだが、消えたという感じなのだ。
立ち上がり、去っていくのを見届けていたわけではない。
ほんのちょっとまた視線を本に戻したのだが
ふと(今のは何だったのかなぁ、おじいさん・・・?)
と次にあたりを見渡した時にはおられなんだった。
そのベンチは階段からも距離があり
杖をついたあの老人がそんなに早くはたどり着かないだろう。
不思議だ・・・消えた・・・

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