2021/09/27

子猫

日曜日の夕方から夜にかけてはいつも出稽古だ。
私が出かけて1時間も経たない夕方、
我が家の斜め前のお宅から電話が入った。
そちらのお宅の駐車場に子猫がうずくまっており
助けを求めてきたのだ。
夫は台所の火を止めて伺い連れて帰った。
レッスンの合間にそのことをメールで知る。
「玄関で今寝ている」

レッスンを終えて車を出す前に電話する。
とにかく寝ているという。
おかしいなと思う。
どのくらいの子猫かもわからないが
なんとなく不安だった。

帰宅して小さな箱の中で横たわっているのは
本当に1か月経つか経たないかの子猫だった。
触ってみてかなり冷たい。
あたたかくくるんでみたが不安で
撫でて温めたりしたがダメだった。
深夜2:30ころに逝ってしまった。
うちへきてたった8時間で逝ってしまった。
朝までがんばって生きてと願ったがダメだった。
夫は途端に泣いていたけれど私は覚悟していたから泣かなかった。
まんじりともせずそのまま朝を迎え
寿里子のお墓の横に埋めた。

9月の先週や今日のように夏が終わったさわやかな空気は
いつも寿里子を強烈に思い出させる。
10月に死んだ寿里子。
最期の1か月のこの時期が一番つらかった。
もう本当にダメなのだと覚悟させられたのは
涼やかな秋の気配ただよう今の時期だった。
寿里子が一番恋しくなる季節なのである。

夫は昨晩、この子猫と新しい生活が始まるかもしれないと
私は子猫の冷たさからそんな楽観はなかったが
朝になったら一番で医者に連れて行こうと温めていた。
それでもし生き延びたら家族として迎えたかった。

息を引き取ったときは涙は出なかったが
今はいろいろ考えてしまうので泣けてくる。
私の両手ですっぽり包めるくらいの小さい猫
どこをどう歩いてあちらの駐車場でうずくまったのだろう。
あんなに小さくても隠れて死ぬところを探したのか。

私たちはいつか子猫がうちにたどり着いて
それを迎え入れることを望んでいた。
なんとなく二人でそう望んでいたのはわかっていたが
本当にそうだったのだとあらためて思う。
寿里子が死んで12年。長いなぁ。
たった8時間。
それでもありがとうね、うちにいてくれて。

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