2021/07/03

なんだって簡単にはできない

 6/29の日経の教育欄「受験考」にこんなことが書かれてあった。
保護者会で親が「もっと効率的な勉強の仕方をおしえてくれないか」
と言ってきたらしい。

数日前twitterで流れてきた投稿に、それはたぶんピアノの先生。
体験に来た幼稚園児の母親が「がっつりやるつもりはないので
簡単にささっと両手でひけるように」と言うので、
「ささっとひけるにはがっつり基礎をやらねばならない」
と話したというのがあった。

私も以前まだはじめて数か月の中学生の生徒に
「なんか 曲 やらないんですか」
と言われた。
今やってるのも曲なんだけれどね。
あなたの知っている曲ではないかもしれないけれど。

パソコンが世に出回り始めたころ
「こんなことコンピュータがあればちゃちゃっとよ」
などと言ったり思ったりしたものの
「ちゃちゃっと」できるようになるために
どれだけの時間と労力が必要だったか。

さて、更に同じ「受験考」(6/1付)にも面白い記事。
『算数の授業をしていると、生徒の学力によって独り言が異なる。
 算数が得意な子は「似たような問題を見たことがある」とか
 「解いたことがありそう」
 一方、苦手な子たちは決まってこう言う。「ひらめいた!」』
この先がおもしろい。
『人生の中でひらめくことは、めったにない。
 どんなに偉大な数学者でもそう簡単にひらめかない。
 ところが算数が苦手な子は数分おきにひらめくのである』
これは実際にはひらめいたのでなくて「解けた」なのだ。
解けた経験が少ないから、ひらめいたと思い違ういうのだ。
得意な子は決してひらめくことなく、むしろ試行錯誤、
様々なアプローチを試みているという。
大切なのは「解けた」という感動体験の積み重ね。

勉強でも楽器でも簡単には自分のものにならない。
好奇心、意欲、理解力、集中力、持続力。
従順さも必要だ。
こうして長い年月やっていれば
その間に何度も何度もこれらの力には山あり谷ありがある。
ものすごくモチベーションが高くなっている時期もあったし
へこんでしまってやる気がでないときもある。
やる気がなかなかでなくても
ギターをやめることなく、
レッスンをストップすることなく
継続してきたことは力になったと思う。

しかし効率、効率、ちゃちゃっとささっとって
その親御さんなりご本人はそうやって生きてこれたのかしら。
たまたまピアノをご自身が弾けないけど
なんでも簡単にこなしてこれた人生だったから
ピアノなんかもささっとできるものだとでも思うのか。
そりゃ、天才ですな。うらやましい。

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