姫路は2か所を目的としていた。
もちろん白鷺城、そしてもう一つが書写山圓教寺
姫路駅から北西にバスで2~30分行ったところ。
西国三十三所観音霊場の二十七番札所で
山の上にたくさんのお堂があるのだが
ここは映画などのロケ地としても知られている。
姫路駅についてすぐ駅構内にある観光案内所へ。
圓教寺へ行きたい旨を告げると地図を渡され
「ロープウェイが点検中で1時間くらいの登山となります」
と言われる。
(ふぇ~、なんとここでトレッキングせねばならないのか)
と0.5秒くらい気持ちが揺らぐ。
しかしここはどうしても外せない。
手書きの地図をいただき、乗るバスの番号を教わり、
コインロッカーに荷物を入れていざ出発。
地図に書かれてあったバス停に一人降り立つ。
バス停のすぐ前に延びている道に入るように地図にはある。
確かに道はある、きちんとした道だが細い。
これでよいのかなぁ~とちょっと不安。
そこへふっと、いつ現れたかおじいちゃんが私の横にいる。
💡💡今ここで尋ねねばダメかも💡
「すみません、圓教寺への登山口へはこの道でよいのでしょうか?」
とすかさずお尋ねをした。
はじめその地図を理解するのにちょっと時間がかかったが
「一緒に行きましょう」とおっしゃってくださる。
「申し訳ないです、ご一緒していただいて。
ご用事がおありでしたのでしょう?
あっ、もしかしてゲートボールですか?」
「えぇ、そうですけれどかまいませんよ」
「失礼ですが、おいくつになられるのですか?」
「81歳です」
しばらく歩く。
「あぁ、この地図に書かれてあるお堂はこれですか?」
と歩いて数分のランドマークとなる女人堂。
「そうですね、ここを曲がって、階段をのぼって。
あっ、お参りしていかれますか?」
とおっしゃるので、お断りする理由などまったくない。
もちろんお参りをする。
お堂の横は墓地もあるが登山口という表示があった。
もうここで十分わかったのでおじいちゃんにお礼を言う。
「ここに案内板がありました。ありがとうございます。
ここからはもう大丈夫ですから。」
「途中まで登ります。うちのお墓もここにあります」
「あっ、そうですか?」
と一緒に階段を登ったのだが、途中から岩の足場となる。
つまり本当に登山となるわけですな。
私はちょっと心配で振り返る。
と、その瞬間ふらっとよろけているではないか、おじいちゃん。
これ以上は危険である。
「本当にもうこちらで大丈夫ですので。
足元も悪くなってきますのでここまでで。本当に」
「いえ、もう少し。貴女が登っていくのを見届けます」
と、なんとお優しいおじいちゃん。
しかし見届けたいのは私の方である。
おじいちゃんが手すりのある階段まで降りつくのを
見届けたい心境だった。
「では、ここにいらしてください、登りますので」
と何度も振り返りつつ私は登り始めた。
お互い見えなくなったころから
私は救急車の音がしないかだけを気にしてひとり登山。
この話を生徒さんにしていたら
「先生、その方、神様だったのですよ」
と言われた。
納得した。あのおじいちゃん、神様。
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