2022/07/02

『峠』 香川京子が良かったのでした。

 計画通り映画を観てきました。
1年半公開が先延ばしにされた原作司馬遼太郎の『峠』
司馬遼太郎はなんだかんだ思いながらも
(読むの大変、上から目線の文章etc.etc・・・)
女性にしては(私のこと)読んでいるほうかも。
というのも女性友だちと司馬の話は続かないのだ。
そのくらい読んでいる人に出会ったことがない。
この『峠』を私は2回読んでいる。
司馬が私に植え付けた河井継之助という人は
とにかく気の毒な人なのである。
財政の建て直しをし、時代を読み、民のこと考えた人だった。
歴史的にそういう人は多数いるだろうけれど
彼は生きた時代がもう少し違っていたらと思わずにいられない。
アホな新政府側の若造が相手で嘆願書も受け取ってもらえなかった。

2018年長岡の『河井継之助記念館』へ行った。
入館料を払ってすぐの壁に新聞記事が貼ってあった。
映画化の記事であった。
なんと最近発表になったということで公開は2020年とある。
その日以来待ちに待ちましたよ、上映を。

あの長編作品のきっと最後の三分の一のあらすじが画像化
その印象はぬぐえなかった。
私は河井継之助のことを『峠』を読むまで知らなかったから
この映画で河井に興味持てたら是非本を
いうのが鑑賞直後に思ったことだった。
正直違う題名で公開してほしかった、と思うくらい
私が司馬の本から受け取った河井の偉大さは感じられず、
あんな風に死んでいった無念さも感じられなかった。
更には『こんなに本に登場してたかぁ?』と思うくらい
細君や両親が映画には登場するのだが
きらりと光っていたのは、母を演じた香川京子であった。
この人、大好きである、うん。
『東京物語』の心優しい娘時代から黒澤作品の彼女も良かった。
だいぶ以前に日経の「私の履歴書」も書かれていて
1ヶ月通して、謙虚ですてきな女性だと感じた。
(芸能人の履歴書で良い印象だった人はあまりいないから)
お年を召されてたまに見るときちんとおばあさんになっていた。
それがまたとっても良いのである。
しわを伸ばしたりとか、若作りなどなさらず
どこかでお見掛けする品のいいおばあさんである。
日本映画の黄金期をご存じの最後の女優さんのひとりである。

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