電車の中でときどきブツブツと独り言を言う人いますね。
先日なかなか楽しいおじいさんがいましたのでそれを。
帰宅時、上野から東海道線に乗車。
ドアのすぐ脇に座り、いつものように読書。
東京駅からそのおじいさん乗車。
ドアに寄りかかるように立つ。
私のすぐ左だがドア脇の席のあれはなんて言うの?
衝立のような、おじいさんにとっては背もたれになる
そこにそのおじいさんは立っていた。
しっかりした口調で話をする声が聞こえるので
同伴者がいるものと思って私は読書をしながら
電車の騒音でところどころしか聞こえない声を聞いていた。
が、どうやら独り言らしいとわかる。
まるで落語か講談かというくらい滑らかな話ぶり。
「・・・それで服はしわくちゃなんだな。
でも顔もしわくちゃだからバランスはとれている」
「お風呂にちゃんと入っているかい? だめだよ。
そんなところ、お尻なんてかいちゃ。
第一、みっともないじゃないか」
「僕はね、医学書を読むのが好きなんだ。
知っているかい? 医学書の紙は真っ白なんだ。
真っ白なんで文字がくっきりと浮かび上がるんだよ」
川崎あたりからおじいさん、からだの向きをかえた。
そして私の存在が目に入ったのですね。
私はその日演奏があってギターを抱えていた。
「お姉さん、音楽をやっているんだね」
(おっ、私のことか? 私が下を向いて顔が見えないから
まぁ、お姉さんと言ってくれるのねぇ、ありがとねぇ。
このおじちゃんから見ればお姉さんでも悪くない)
と思いながら話を聞いていた。
「ひとつのことで何億も何十億も稼ぐ人がいるねぇ。
大谷みたいにねぇ」
(はぁ、とてもとても億なんて稼げるものではゴザイマセン)
からだの向きがこちらになったので聞き取りやすい。
「僕は目がいいから、ここからも字が見えるよ。
でも読んだりはしないよ」
(マナーしっかり!)
とここでまた医学書の話になっていく。
「腎臓も肝臓も大事だからね。よく読むんだ。
なにかあったらね、医者に相談するんだ」
そろそろ横浜に到着というころ、子どもの鳴き声が
「どうしたんだい? こっちへおいで。
おじちゃんは子どもをあやすのがうまいんだよぉ」
それを最後におじいちゃんは下車しました。
楽しい時間をありがとうございました。
何度小さく私はうなずいていたことか。
はい、もちろん私の読書はま~ったく進みませんでした。
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