時々ぽつりと書いていた親戚の家の片付け。
その家の売却が急遽成立し、6月末に引き渡せねばならず
家の中を空っぽにするため怒涛の6月を過ごした。
叔父夫婦と言っているが、正確には父の従兄弟。
我々の祖母と叔父の父親が姉・弟という関係である。
80代半ばの叔父夫婦には子どもがおらず
北海道出身ということもあり近隣の親族は私たち兄妹。
ということで私たちが中心にこの約5年間
ヘルパーや訪問介護、ホームへの入居、
不動産の売却などなどの実働をしてきた。
もちろん私たち2人だけでなく、兄嫁、夫はもちろん
札幌の甥っ子とか叔母の弟とグループLINEを作り
皆の協力なしにはやってこられなかった。
この5年間のことを思い返すと
後ろから押し寄せる大きな波に飲み込まれる直前に
何とか逃げて飲み込まれずすり抜けたと思わざるを得ない。
もともと人の世話になってはいけないという意識も強く
電話をしても「大丈夫だから」としか言わなかった叔父。
しかしまったく大丈夫ではなくて、
5年前に我々が介入し叔母をホームにいれなかったら
叔母の命はなかったと思っている。
その直後、コロナが蔓延する直前に叔父の白内障手術入院。
別荘にしていて毎年花火を楽しんだ
鎌倉の海辺の不動産は最高値で売却。
認知症が進み、ひとり暮らしは難しいからと
ホームドクターや皆でホーム入居を勧めても
なかなか首を縦に振らなかった叔父は
ほんのちょっと酔っぱらって転んだ近くが派出所で
「警察沙汰」になったことですんなり入居。
そして50年近く暮らした家の売却も
叔父の認知症の進行度がつるべ落としのごとく早いので
今年中に何とかしなければという状態だった。
叔父夫婦は現在同じ老人ホームで穏やかに生活しているが
家が売却されたことに伴って住民票を移動しなくてはならなかった。
そうなりますと、マイナンバーカードも書き換え。
金融機関にも届け出なくてはならないのですね。
ほんじゃぁと住所変更をする前に
使っていない金融機関を閉鎖することにした。
叔父はもともと口座は少ないので閉じる必要はないが
叔母は閉じられる口座を複数持っていた。
閉じるには通帳、印鑑、キャッシュカードの3つが必要。
しかしである、カード見つからず、印鑑もわからない。
そうなると「マイナンバーカードとご本人様」が必須である。
(もちろん委任状という方法もあるがチョ~面倒)
ホーム内での生活がほぼ車椅子の叔母が外出可能か施設の人と相談
叔母が自身の住所氏名をサインできるかも確認し
家を片付けた時に集めた10本以上の印鑑を持って、
叔母を連れて金融機関へ行く。
ここまでこんなに長く書いてきたが、お伝えしたいのはここから。
銀行にあるちょいとオシャレな黒いペン差しにセットされた
ヒュッとしたカッコイイ黒いボールペン。
あれは筆圧の弱くなったお年寄りにはまったく書きづらい。
その日3つの金融機関を回ったのだが
最後に寄ったゆうちょが普通のボールペンで
叔母も一番上手に書けていた。
「一日、何回も書いたからうまくなっちゃったね」
と最初は言っていたのだがそうではなかった。
テーブルの高さも敷いてあるシートのやわらかさも
普通に売っているすべり止めのついたグリップのボールペン
すべて考えて置いていると局長さんはおっしゃった。
「ゴムのすべり止めがあり、少し太字のが良いのです」
ホーム入居後ほとんど外出することがなかった叔母。
暑い中3つもまわってかなり疲れさせてしまった。
義姉も私もかなり疲れたから叔母はさぞかしである。
でも叔父より理解力がある叔母なので
我々がすべて片付けていることもわかっていたし
銀行も回らなくてはことは承知しがんばってくれた。
10本以上持っていった印鑑はすべて一致しなかった…
「こちらの紙にすべて押してくださいませ」
「すみませんが、マル系か楕円系かだけでも教えてくれませんか?
こんなに持ってきているんで」(と見せる)
「…ちょっと確認します‥‥マル、丸い印鑑です」
「まるい印鑑ですね」(とポンポン押しまくる)
「調べましたがこちらには一致するものはございませんでした」
「・・・・・・・」
資産分散ができるのは管理ができる若いうちだけ。
とにかくまとめましょう、シンプルにしましょう。
モノは整理し執着しないようにしましょう。
自分でできることはやっておきましょう。
後回しにしてはイケマセンッ!!
あっ、それとお仏壇をお持ちの方もどうするか考えてね。
叔父夫婦はとってもシンプルに生活していました。
きちんと整理されていたし、片付けやすかった。
でも亡くなってもいないのに、自身で片付けることもできず、
私たちがやったということが、
私にはさびしいというか、悲しいというか、なんというか。
そんなもやもやとした思いも残っているのも本心です。